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謎亭論処・黒の貴婦人 / 西澤保彦

交互に読み進んでまとめて読み終わったのでまとめて紹介!これで現存するシリーズを全て読み終わっちゃいましたの匠千暁シリーズの短編2冊!
 

・・・いやぁ、実に面白かった!!
 

え、感想が適当すぎるって??
・・・だって仕方ないじゃろ。。
イケダは匠千暁シリーズを読むに当たり時系列通りにちゃんと読んでいったわけ。
となると、この短編ってもう本当にわけがわかんないくらい順不同。どちらにどの物語が書いてあったかすら意味不明な状態になっちまいます。

ただ、物語の完成度に波はあるものの、シリーズ読者にとってはどこを切り取っても非情に面白く読めるようになってるのは間違いないわけで面白いとしか言い様がないわけ。

さて、シリーズの短編だけあって基本的にはサイドストーリーで固められてる。
が、それだけじゃなくて、読まないと長編を読むときに「?」になるような大事な物語もあるってのがポイント!伏線的な箇所も多く見られ、短編集だからといって読まないと長編読むときに損しちゃいます。
また、語り手が色々な人がやっていることも特徴的で、長編とは違った観点から楽しむことが出来る!そう、時間軸と語り手がバラバラなんで主人公4人のキャラクターの魅力が多様に伝わってくるのが良い!

ミステリありの青春ありの読み応えのあるこのシリーズ。
文章も簡単だしなかなかオススメです。あぁ、次作が出るのが楽しみだ。。
★★★★★★★☆☆ 7本 (完読 2010.03.28)
 

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身代わり / 西澤保彦

匠千暁シリーズ、傑作『依存』の続編である第6作目。
舞台は依存から3ヶ月程度後の物語となる為、何度も念を押すが、読むなら絶対に最初から順に読むこと!!
(作品の発表順はバラバラだけど。。)

そんなわけで“身代わりの身代わりの身代わりは、身代わりの身代わりだった!?”と帯に記載している通り、論理パズル的なミステリー。但し、読み終わった後にも帯の意味は整理しないとわけがわからん!!

最終的には4人とも元気な姿で登場してくれてめちゃめちゃ安心したが、物語の中心は基本的にはボンちゃんのみ!で、4人が揃わないことからお酒の量がまたまた微量。・・・やっぱり飲みながら妄想を展開して推理していく方がワクワクしてきて楽しそうなので好きです。。

全く関係のないと思われる2つの事件が複雑に交錯していく展開、それと並行して進む4人の成長。相変わらず心理的な切り口をもって物語が進む為、暗さ&重さが出てくると思いきや、どこかスッキリと読めちゃうのは4人が成長していっているなのかもしれせんね。
平等に評価することが出来なくなってますが「とりあえず面白かった!」の一言に尽きます。もう今後の展開が気になって気になって・・・・。。出来るだけ早い段階で次作が出版されることを切に切に願ってます!!
★★★★★★★★☆☆ 8本 (完読 2010.03.21)

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依存 / 西澤保彦

匠千暁シリーズ5作目でシリーズ最長編、そして最高傑作。
初めに断っておくが、まだ読み終えて10分も経過していないので、熱く評価してしまうことを了承して欲しい。しかし、シリーズの中でも最高傑作という考えに変わりはないと断定できる。

まず、序章の20ページ。ここでまず1回逝きます。
ここから残りの600ページを止めることが誰に出来ようか・・・。

そこから散漫しては収縮してを繰り返していく物語の連鎖。本筋とは違う為、サイドストーリーには違いないのだが、サイドストーリーにも見え隠れする『自己愛』という概念。『仔羊たちの聖夜』『スコッチ・ゲーム』と前作に紐づくテーマである。全ての物語が一本の線につながるわけではないが、根底にある揺るがないそのテーマによって物語に暗さ重さを出し、そして美しい結末までを導く。

ウサコという一人称の視点から語られるわけで、それが非常に意味のあることになっている。どこか常人と違うタック&タカチ&ボアンを冷静に綴れるという点で完璧な構成。強いて難点を言うならば、それをすることによってウサコの距離感をハッキリさせたいという気持ちが全面的に出てしまい、4人での論理合戦が減ってしまっていること。また、シリーズの別名「酩酊シリーズ」と謂われる所以、酒の量。それが凄く少ない。つまり総じて言えば、主役であるタックの活躍が見事なくらい欠如しているってことだ。・・・が、そんなことは問題ではない。
この4人の信頼関係が以前までとは違うレベルに達したことが感じられる、それが物語の深みを増している。
推理小説だけでない、青春小説のような人間臭さ、恋愛小説のような駆け引きと緊張感、全てをひっくるめることが出来ているのは、シリーズへの思い入れ&ここにきて深みを出した人間関係に他ならないだろう。

なんかまとまりがなくなった文章だけど、とりあえず以前紹介したように短編も含めて始めから読まなくちゃこの物語の感動は半分も達せないだろう。うん、この物語だけ読んでも、ディティールの詰めが甘かったりと無茶なとこもあるんで駄作と感じてしまうことも有りうる・・・。。
支配欲に愛情にとテーマが辛い内容でもあるが、読後に何かを感じることが出来るはず。依存、それは思考のバランス。オススメな1冊!
★★★★★★★★★ 9本 (完読 2010.03.13)

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スコッチゲーム / 西澤保彦

西澤保彦氏の匠千暁シリーズ4作目。
2年前に起こった高瀬千帆の郷里での事件を匠千暁が見事に推理する話。
過去の作品において4人組のキャラクターが出来上がったところで、今回はメインに高瀬千帆をおき、過去の回想から綴ることで高瀬千帆の心情というものを今に帰してくるという、どちらかというと人間ドラマを中心に置かれてる構成。ミステリの内容としてはちょこっと強引で、頻繁に出てくるナルシズムという観点はあくまでミステリの要素という為でなく、それに対する高瀬千帆、または今後に続く匠千暁の性格を引き立たせる一つの素材と捕らえられる。この歪んだ考え方こそが、シリーズ全般に渡って暗い雰囲気を出している1つの要因でもあるし魅力でもあるわけだ。
ミステリを楽しむという点においては物足りないが、シリーズを読破するには必読の物語。
★★★★★★☆☆☆☆ 6本 (完読 2010.02.06)

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仔羊たちの聖夜 / 西澤保彦

西澤保彦氏の匠千暁シリーズ3作目。
本格ミステリの1作目、殺人が起きないミステリ小説の2作目、そして登場人物4人組の青春・人間ドラマにシフトしていくこの3作目。
酩酊シリーズとも言われるこのシリーズ、飲んで飲んで酔って酔って推理するというお気楽そうな感じとは裏腹に、どこか非常に重い雰囲気が漂ってます。
特にこの作品は、結末までも少し重たく(ちょっと強引だしネ)、心の闇の部分にメスを差し込むような仕上がりになってます。
とはいうものの西澤氏特有の一人称での語りからの急にコメディータッチな客観的な視覚からの構成でやっぱり嵌ります。ただ、この作品だけを読むと面白みが欠けてしまうのは間違いなく、最初から読み続けて人間ドラマを眺めていくのが一番のオススメな読み方だなと思います。
★★★★★★☆☆☆☆ 6本 (完読 2010.02.04)

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解体諸因 / 西澤保彦

バラバラ殺人ミステリ短編9編、西澤保彦氏デビュー作。
イケダは完全に失敗してしまいましたね。短編が9編入ってるので、1週間くらいにかかってゆっくりと読んでしまった。で、最終章・・・、記憶が曖昧で整理することが出来ず!!あぁ、やっちまったな、と。
つまり、8編の物語が最終章で結びつく結果になるわけ。それも単純に結びつくのじゃなくて、かなり意欲的な構成方法をとってて、最終章は「え?え?そゆこと?」となっていく。ついつい、最初から読み直してしまう!
トリックに目を見張るものはないが、バラバラにする理由ってのが非常に合理的。バラバラ殺人の心理状態が少しわかった気がする。
想像しちゃうとグロテスクだが、そこまで気を張ることなく読める。
読むなら最初から最後まで一気に、そして出来たらメモでもとって整理しながら、ぜひどーぞ。
★★★★★★☆☆☆☆ 6本 (完読 2009.07.18)

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異邦人-fusion- / 西澤保彦

『7回死んだ男』があまりにも面白かった西澤保彦氏。
今回読んだ作品は、再びタイムスリップもの。といっても『7回死んだ男』とは違い、王道のタイムスリップ!わけもわからず過去に戻ってしまった影二、40歳。戻ったのは、自分の人生が狂ってしまった父の死の数日前。人生をやり直す為に父の殺人を防ぐ!という物語。トリックを暴くとかの類ではなく、親子の愛情、姉への秘めた思いをめぐる物語が中心でミステリとは異なるジャンルになります。現在と過去を結ぶものを手繰り寄せ、クライマックスに!!う~ん、少し内容が浅いかな。。
カギとなるキリコが14歳のわりに早熟過ぎる!!レズビアンというテーマを入れてある為、現実離れさせたのもわかるけど、どう考えても無理があるって。物語の途中で何度も念押しされるが、それがまた一段と気になってしまった。幾つかの謎を残して終わってしまい、読後感も少しあやふや。もっと繰って欲しかったです。
★★★★★☆☆☆☆☆ 5本 (完読 2009.07.05)

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七回死んだ男 / 西澤保彦

非常に面白い、タイムトラベル+ミステリー!
ミステリーものって、当たり前なんだけど無茶苦茶なことしたらダメじゃないですか?SFみたいに空を飛べたり、念力でモノを動かせたりとか・・・。そんなことをしたら成り立たなくなるわけだからダメなんですよ。
ただ、この作品、『時間跳躍』ものです、はい。主人公である久太郎の体質故、時間を9回も巻き戻せます。主人公だけ時間のループができます。
その時間をループする体質を利用して祖父の殺害を阻止しようと頑張るのだが、・・・どうやっても殺されてしまう!!限られたループの中で幾度も行動の変化を試みるが失敗に次ぐ失敗。なぜなんだ??
タイムトラベルとミステリーを合体させたにもかかわらず、論理が破綻せずに物語が進んでいくところは作者の文才と感じられます。タイトルは暗めですが、コメディー感覚で読めちゃうオススメの1冊です。
★★★★★★★★☆☆ 8本 (完読 2009.06.24)

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僕の好きな人が、よく眠れますように / 中村航

バカップル物語。
読んでいる最中に色々と思い出して、なんだか悲しくなった。
それほど、肯定的に人を愛することの素晴らしさを綴ってます。
好きすぎてどーしようもない、行き場のないくらい愛している・・・か。
絶対に幸せになることはない二人が、お互いしか見えなくなってる。
小粋な台詞の言い回しや恥ずかしいくらいの恋愛物語は、なんだか羨ましくて気が狂いそうでした。「いいなー!いいなー!」ってのが、読んでる最中の正直な感想です。。
「恋ってのは、寸止めが一番美しいんだよ」
うーん、美しくある必要なんてなかったてこと??
出会ったのが、あの時、あの場所でなかったら結果は変わってきたんだろうな。誰かを真剣に好きになりたくなる、そんな1冊。
★★★★★☆☆☆☆☆ 5本 (完読 2009.05.16)

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