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パフューム -ある夜の物語-
2009.07.30 Thursday 03:13 | 日記 '09
非常に不快な夜である。
不快な状態で日記をつけ、そして就寝しなければならないと思うとそれがまた不快だ。
蒸し暑いから?? いや、それは見当外れも甚だしい。
ここ1年で不快なことは沢山あったが、それはあくまで精神的なことであり、これほど肉体的に訴えてくる不快な感覚はかつてないだろう。
とりあえず、さきほどまで谷口が我が家に来ていたのだ。
“なぜだ?? 一体なぜなんだ?? 気のせいか? いや、これは現実。か?”
谷口を部屋に招き入れてから僕の頭の中は、この自問自答を繰り返していた。
繰り返し過ぎて思考が擦り切れ、軽い眩暈を起こしていた。
そもそも我が家に谷口が訪れるのは、火曜日から決まっていた。
火曜日に僕は確認したのだ。
「木曜? そんな平日に大丈夫か? 仕事あるやろ?」
と。すると彼は応えた。
「いや、木曜はどうせジムに行くから、帰りについでに寄ってくわ!」
と。なるほど、それなら大丈夫であろう、僕はそう信じた。
そして、彼は予定通りジムに行ったのであろう。
今から2時間前、部屋の外から僕を呼ぶ声がしたので、玄関を開けた。
玄関を開けたときに飛び込んできた谷口の身なりは、
短パン・Tシャツ(火曜と同じ)と、完全にジムで一汗流してきた風であった。
このとき、部屋でくつろいでいた愛犬きなこは、急に起き上がり
2階に駆け上がっていった・・・。
“動物の五感は人間のそれを遥かに凌駕する”
後になって思い出したのだが、このときの僕は知る由もない。
「おー、お疲れ。あがれや!」
僕は眠かったものの、彼を部屋にあげた。
彼はもちろん用事があるのだから、部屋にあがる。
そして部屋に入って、ドアを閉めた瞬間に脳が危険信号を察知した。
“え、めっさ・・・・”
「谷口、おまえめっちゃクサいな!!!!」
あまりの芳香に口をついてしまったというのが本音だ。
なんだろう、腐ったとかそういった類の臭さではなく、
やもすると親父臭い加齢臭と思われがちなのだが、それとも一線を期す。
汗臭いということもなく、かといって軽く眩暈のする刺激臭、それも香水のような刺激臭でなく、体全体から霧状に噴出しているような脳に突き刺さるような刺激臭。
そう、タニグチ臭(別名:カメ臭)を撒き散らしながら我が家に乗り込んできたのだ。
確かに、確かにジム帰りで汗をかいたのはわかる。
この暑い季節だ、そりゃ、汗がとまらないのも致し方ないってもんだ。
つい口が滑って悪いことを言ってしまった。。
多めにみてやろうかと臭いへの怒りを腹に静めようとした次の瞬間、
「え、臭う? ジムで風呂入ってきたから大丈夫やろ!!」
完全な死角から飛び込んできたこの衝撃の発言。
風呂に入ってきても、なお、あまりあるこの芳香、強烈なカメ臭。
“やってええことと悪いことがあるねんぞ!!!”
何に対しての怒りかはわからないが、何かとてつもなく大きいものに対して怒りをぶつけたかった。
もちろんこの発言は口に出していない。
続けて、彼は言った。
「ええ臭いやろ!」
呼吸困難による一種のパニック状態に陥っている僕を尻目に彼は言ったのだ。
そのとき、僕の部屋が桃源郷のように無限の輝きを見せた。
・・・それが、鼻から吸い込まれる芳香による幻覚作用と判断するまで5秒以上を費やした。ここが戦場なら命取りになっていた。
そして、予想通りの場所にどかっと寝転び、携帯をいじりだす。
寝転んだことで、一瞬、まさに刹那、シャンプーの香りが僕の鼻をついた・・・
それがまた僕の沸点を上昇させた。もちろん理由などない。
強いて言うならば根本的な不快な感情である。悪意とは何かを考えた。
“なぜだ?? 一体なぜこんなに臭いんだ??
気のせいか? いや、これは現実に臭い。いや、間違えか?”
そこから30分はこの自問自答を繰り返していた。
そして、彼が帰宅した後は部屋がびちょびちょになるまでファブリーズを散布し続けた。
母が部屋に入ってきて、一言。
「え、これ何の臭い?なんか変な臭いすんねんけど??」
・・・これがファブリーズの臭いなのか、カメ臭なのか。
真実は誰も知らない。。
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